相手の行動を引き出すための2つのコミュニケーション

今月の研修:リーダーシップパワー理論

みなさんは、リーダーを務める中でなかなか行動や成長が見られないメンバーに困った経験はありませんか。
おそらく、該当するリーダー経験者は多くいると思います。

では、相手に対して自分がどのように接していたかを思い出してみてください。

行動を促進しよう、やる気を引き出そうと試行錯誤する中で、自分にとってモチベーションが上がる方法や嬉しいと感じる方法でコミュニケーションをとってしまっていませんか

しかし、本当にその方法で、動きが見られない相手の行動を促進することができるのでしょうか。

人に影響を与える力とは

どのようなコミュニケーション方法に導かれて行動を起こすかは、人それぞれ異なります。

人に影響を与える力は、以下のように7つ挙げられます。

このように、人に影響を与える力は複数あり、実際どのような力に影響を受けるかは人によってバラバラです。

しかし、人間は他人に影響を与えて導こうとする際に、自分の欲求に応じて相手にも働きかけてしまう傾向があります。こうなってしまうと、欲求が違う相手に対して一向に上手く導くことができない状況になってしまいます。
そのため、リーダーを務める人は、自分の欲求には当てはまらないものも存在することを理解し、相手の欲求は何かを見極める必要があるのです。

では、相手の欲求を見極めるためにはどうすれば良いのでしょうか?
私はこの研修を受けた後、自分なりに考えてみました。

そして、日々のコミュニケーションと業務上のコミュニケーションからそれらを見極めることができると考えました。

この記事では、それぞれ以下のように定義します。

  • 日々のコミュニケーション:仕事の合間の雑談など、何気ないコミュニケーション
  • 業務上のコミュニケーション:一緒に仕事をする上で取るコミュニケーション

ここからは、なぜどちらもが必要なのか、私自身の例を用いて説明していきます。

自分の例

私はキャリア支援団体「エンカレッジ」で、メンターたちの育成を行う10人規模のセクションでリーダーを務めています。

同じセクションのメンバーに、業務外でも仲が良い人がいました。日々の何気ないコミュニケーションから、彼女は人間的魅力に大きな影響を受けるタイプだということはよく分かっていました。そして、彼女は私を慕ってくれており、いつも期待に応えようと精力的に活動を頑張っていました。

そこで私は彼女にさらに成長してほしいと思い、メンバーとしてついていくだけでなく、ある研修の設計リーダーとして他のメンバーを引っ張る存在になってほしいと伝えました。
彼女は是非頑張りたいと意欲を示してくれました。

しかし、実際に業務を任せてみると、彼女はどうしていいか分からなくて不安が大きいこと、そして不安な気持ちによってモチベーションが落ちかけていることを打ち明けてくれました

これは、彼女がある程度自由にリーダーをやれるよう、私が最終ゴールだけ伝えていたことに問題がありました。彼女にとっては、情報を持って明確に仕事を渡してくれるかどうかも重要な要素だったのです

ここで初めてそのことに気づき、渡せる限りの情報を渡して方向性を示すようにしました。すると彼女は、見事リーダーとしてその領域を引っ張る存在となってくれました。
更に、研修に社会人を巻き込んだり他大学の人を参加者として招いたりと、渡した情報をもとにより良くなる+αのアイデアを多く取り入れてくれました。

彼女が受ける影響力を理解して適切なコミュニケーションを取るようになってからは、彼女は主体的に周りのメンバーを動かす側になってくれ、今ではセクション内でとても頼れる存在です

以上の例のように、人はつい自分自身が受けやすい影響力をもとに相手にもコミュニケーションを取ってしまいがちです。

まずはその事実を理解して、相手の欲求を探すことが求められます。
そして相手の欲求を探すためには、日々のコミュニケーション業務上のコミュニケーションを組み合わせて見極めることが重要です。

私のように、日々のコミュニケーションで相手のことを分かっているつもりになっていても、業務ではまた違った欲求が現れることがあるからです。もちろん逆も然りで、業務上のコミュニケーションだけでは相手が持つ真の欲求を探れない可能性があります。私の場合も、彼女が本心を打ち明けられる存在として信頼してくれていたため、他の欲求に気づくことができました。

相手の欲求をどのように見つける?

では、この2種類のコミュニケーションからどのように欲求を見つければ良いのでしょうか?
私はそれぞれ以下の方法を実践しています。

まず、日々のコミュニケーションについてです。
ここでは、1on1などで過去の話も含めて自己開示し合うことを行っています。相手が本気で頑張れた瞬間や、今までどのような環境で過ごしてきたかを知ることで活かすことができます。

続いて、業務上のコミュニケーションについてです。
業務を一緒にする上で、相手が仕事をなかなかしてこなかったり、何かに困っていそうだと感じることもあると思います。違和感を覚えた際に、相手の欲求は違うのではないかと考えるようにしています

この2通りのコミュニケーションから得た情報を組み合わせて、相手の真の欲求を見つけることができるのではないでしょうか。

今一度、「自分は本当に相手の欲求に応えられているのだろうか?」とメンバーとのコミュニケーションを見つめ直してみましょう。

これから研修を受ける方へ

今回の研修は、メンバーのモチベートに悩んだ経験がある方におすすめです。特に大学生でリーダーとして活躍している方は、メンバーのモチベーションが変動しやすかったり活動目的が人によって異なっていたりと、きっと苦労する場面が多いのではないかなと思います。なぜメンバーが動かないのかについて科学的に根拠を持って教えていただけた今回の研修では、そのような状況でもリーダーとして解決に導く方法を見つけられるはずです。

研修で学んだこと

  • 人に影響を与える7種類の力
    • 影響力は相手の心の中にあり、欲求を見極める必要がある
  • 人の欲求は変化する
    • その人の成熟度によって変動する
  • 信頼残高
    • 相手が自分を信頼してくれる度合いは、相手に対する自分の行動の積み重ねで決まる

この記事の著者/編集者

星野歩華 早稲田大学 文化構想学部  

早稲田大学文化構想学部複合文化論系所属。
大学1年次から3年次まで、下駄を履いて踊るという唯一無二のパフォーマンスをするダンスサークルの活動に熱中。広報部長を務め、コロナ禍だからこそできる新たなパフォーマンスを企画・発信した。
現在はキャリア支援団体にて1学年下の就活生の支援をしつつ、一緒に活動するメンターたちが一人前になれるようサポートを行っていくエントランス・育成に携わるセクションのリーダーを務めている。

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