メンバーの欲求段階に応じたコーチングを

 今月の研修:コーチング理論(基礎1)

「仕事でメンバーのパフォーマンスがなぜか低下している」

「モチベーションを持って主体的に行動してくれない」

あなたの組織ではこういった悩みを抱えていませんか。

各メンバーがモチベーションを持つことは簡単でなく、忙しい・厳しい状況などでは特に目的や目標を見失う危険性があります。

しかし、そのような状態のままの組織が続いては、メンバーが中途半端に妥協した形で運営されてしまいます。特に顧客がいる場合は、低品質のサービスを提供することになるので、期待に応えることができません。これは誠実な姿とは言えないでしょう。

そのようなことを避けるためにも、メンバーにどのようなモチベーションがあるかを把握した上で、一人ひとりの目的・目標とモチベーションを結びつけることが大切です。

コーチング理論

今回の研修では、コーチング理論について学びました。

A&PROでは、コーチングにおいて

  1. 目的・目標とモチベーションを結びつける
  2. 目標に向かって主体的に取り組むよう導く

ことを大切にしています。

研修で実際のケースを想定してメンバーのパフォーマンスについて考える中で私は、これらを実現するために、メンバー一人ひとりの欲求段階に合わせた適切なアプローチを取ることの重要性に気付きました。

ここでは、今回学んだマズローの欲求5段階説を取り上げて、このアプローチについて説明します。

マズローの欲求5段階説

欲求5段階は低層から順に、生存欲求、安全欲求、社会的欲求、承認の欲求、そして自己実現欲求によって構成されています。

マズローの欲求5段階

では、組織に当てはめるとこれら各段階はどういった状態に対応するでしょうか。

1つ目が生存欲求。こちらは、組織内で短期的ながらも身に危険が及ばずにいられる段階です。

2つ目が安全欲求です。こちらは、組織内で長期的に精神的・肉体的な安全が確保されている段階です。

3つ目が社会的欲求です。所属の欲求とも言われるこの段階は、メンバーが組織に所属している実感を持っている段階です。

4つ目が承認の欲求です。組織の中で周囲に評価されることによって満たされるというのがこの段階です。満たされているのはこの段階まで、という組織も多いのではないでしょうか。

そして5つ目が自己実現の欲求です。周囲に評価されるかどうかに関係なく、自分らしくあったり、自分の成し遂げたいことのために行動したりする段階です。

あなたの所属する組織のメンバーはどの欲求段階まで満たされているでしょうか。

組織のメンバーに合ったアプローチ

更に、メンバーが組織においてどの欲求が満たせているかによって、相手へのアプローチは異なるものとなります。

チームのメンバーがどの欲求段階にいるかによって、適切にアプローチを変えなければならない、ということです。

なぜなら、低い欲求段階しか満たされていないメンバーに対しそれより高度なモチベーションを求めることは、低段階にあるより根本的な問題を無視したアプローチとなるからです。また、メンバーが既に満たされている欲求段階についてしかアプローチしないことも、モチベーションの向上には繋がりません。

various-approach

私は、エンカレッジというキャリア支援団体において、大学1、2年生向けに記事執筆やSNSによる情報発信を行うセクションのリーダーを務めています。

月に3、4本のペースで記事を投稿する活動ですが、私を含めて3人で構成されており、現段階では他のメンバーの力も借りている状況です。

今回の研修を通じて私は、セクションのメンバーの社会的欲求が満たされていないのに、それ以上のモチベーションを期待し、過剰量のタスクを振っていたのではないか、ということに気が付きました。

実際にメンバーからは、「セクションが自分のやりたいことと合っているか不安」という声があがったり、更にはミーティングなどの約束を直前になってキャンセルされてしまったりするという状況が発生していました。

特に私の組織は代替わりが3月であり、現在は現メンバーとしてスタートして間もない時期です。また、メンバーが3人のみであるという今の状況では、一人ひとりの役割が大きいため、セクションとしての一体感や責任感がより重要になります。

そうであるにも関わらずこのような状態になっているのは、メンバーにとってセクションでの関係構築や所属意識が十分でないからだ、と考えました。

自分の得た気付き

メンバーの欲求段階・モチベーションと向き合う

実際に振り返ると、今までセクションでの関係構築の場を設けていなかった上、個々の役割分担とセクション全体の目標達成との繋がりを意識してもらうことができていませんでした。

人数規模としては、大きいセクションより半分以下となっている中で、個々のメンバーがどのようなことにモチベーションを感じていて、それをどのように自分のセクションの活動に結びつけることが出来るかが、大変重要な観点であると考えます。

1on1-meeting

実際のところ、メンバーの一人と話した際に、セクションでどのようなことをしたいか聞くことで、そのメンバーにとってセクションがどうあることができるか共に考え、今後の役割分担をそれに沿って活用できるよう見直すことができました。

今後は、セクションとして関係構築の場を設ける、セクションの目的・目標と各メンバーの役割分担の結びつきについて一緒に考え直すといった行動を通して、改めてメンバーの社会的欲求の段階からアプローチしていきます。

それと同時に、メンバー一人ひとりと話して向き合う機会を定期的に設け、セクションに対する各自の欲求段階とモチベーションを深く確認し、コーチングしていきます。

最後に

このように各メンバーの欲求段階に応じたアプローチを選択し、一段階毎に積み上げていくことは、メンバーが各欲求段階に応じたモチベーションを持ち、それを自身や組織の目的・目標と結びつけることに繋がります。

その上で、より上位の欲求段階が満たされれば、メンバーは更に主体的に行動するようにもなります。

例えば、私たちの組織は学生団体であり賃金報酬がない一方で、年間で達成すべき数値目標を設定しています。このような組織においては、モチベーション管理が難しいだろうと感じる方もいるでしょう。

しかし、この欲求段階を活用すれば、賃金報酬の有無に関わらずモチベーションを引き出すことができます。むしろ「お金のために働いている」といった消極的なモチベーションを生むことがなく、各自が組織内での活動自体に意味を見出し、各自が高いモチベーションで主体的に行動することができると私は考えています。

これから研修に参加する方々へ

この研修では、相手の問題がどのような領域にあるのか考えたり、マズローの欲求5段階に当てはめるなどのアプローチを学び、実際にコーチングのロールプレイを行います。

相手の問題の根本は何にあるのか、一人ひとりと向き合うことは実際にメンバーと向き合う場面でも非常に重要になります。A&PROが「あらゆる仕事はコミュニケーションと結びつけると豊かになる」と考える通り、実際のどのような仕事、活動においても、このようなコーチングが役に立つでしょう。

研修で学んだこと

  • マグレガーのXY理論
  • マズローの欲求5段階
  • コーチングの領域

この記事の著者/編集者

田村稔行 早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科  

高校時代から英語の部活、サークルでの活動を続けており、大学では理工学部生向け英語サークルの代表を務めました。
更に、大学1、2年生がキャリアついて考える機会を提供すべく、大学生向け就活支援の学生団体「エンカレッジ」で活動。記事執筆やSNSの運用を行っています。

するとコメントすることができます。

新着コメント

最新記事・ニュース

more

皆さんがリーダーを務める組織にはMVVやスローガンと言ったメンバー全員が認識している「共通目標」はありますか? そして、今その「共通目標」を何も見ずに口ずさむことができますか? もし、一度決めたことがある共通目標が形骸化してあまり浸透していない場合は私と同じ苦悩を経験するかもしれません。

大庭彩 1Picks

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1~3を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1と基礎2を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

「自分と仕事をしたいか」と思われているかどうかは他者の言動を大きく変化させます。相手方の時間を頂いているという認識があなたの評価を変えるでしょう。適切な準備を行うことで周囲と豊かな関係性を築きたい方に必見の記事です。

大庭彩 香山 渉 谷口 宗郁 3Picks

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1と基礎2を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

「周りの声を意識して思っていることを伝えられず、自分だけが辛い思いをしている...。」「それもあって、周りに対して愚痴が溜まっている...。」この悪循環を引き起こすコミュニケーションを、A&PROではPassive(受身的)なコミュニケーションと捉えます。そして悪循環を解決させるには、「Passive(受身的)」を「Assertive(自己主張的)」へ変容させていくことが重要です。

矢後慶樹 前田佳祐 大庭彩 3Picks

「メラビアンの法則」や「真実の瞬間」と向合い、各メンバー自身がブランド形成の重要要素であることを自覚していきます。 「目配り」「気配り」「心配り」の各段階を理解し、「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の違いについて研究。 「マニュアル」「サービス」を理解・実践するのは当然。 「ホスピタリティ」「おもてなし」を顧客・メンバーに提供したいリーダーのための研修です。

メンバーに尊敬されるリーダーは当たり前ですが、メンバーを尊敬できるリーダーは少ないのではないでしょうか? 今回の記事ではメンバーを尊敬することで得られるメリットについてご紹介していきます。

大庭彩 1Picks

知識として体系化されているプロジェクトマネジメント。 ただし、頭で理解していても習慣化できていないと、顧客やステークホルダーの期待値とは程遠い『自己満足なプロジェクト』となってしまう。 各種マネジメントツールにもてあそばれず、プロジェクトマネジメントの本質を理解し、やるべきことを実践し続ける。 そんな責任あるリーダーを対象とした研修です。