お客様に価値を与える、もう1段階上のサービスにするには

今月の研修:マナー・ホスピタリティ・おもてなし

はじめに

皆さんはお客様対応の「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の4つの違いについて考えたことはありますか?

今回のマナー研修ではこちらの違いについて考えました。

最初に言ってしまうとこれらの関係性はシンプルで、これらがピラミッド構造となっています。

勇者が主人公のとある冒険ゲームでは最初の村から冒険が始まり、村ごとにシナリオがあります。そのシナリオをクリアすると次の村に進むことができ、最終的に魔王城に辿り着き、魔王を倒します。このゲームのやり込み要素としては、勇者はモンスターを倒すだけではなく、モンスターを仲間にする場面もあることです。

私の中ではお客様に価値を与える時もこのような構造になっていると考えます。

つまり、最初にマナーやサービスについて考え、習得して初めてホスピタリティを考えることができます。ホスピタリティを習得し、更にお客様に寄り添うことがおもてなしに繋がります。逆におもてなしができているのであれば、それまでのマナー、サービス、ホスピタリティは低次元の話に感じるでしょう。

今回の記事では、それぞれのお客様対応の違いについて触れつつ、お客様対応をおもてなしレベルに引き上げるにはどのようにしたら良いかを私の動画編集サービスでの経験を織り交ぜつつ、紹介していきます。

4つのお客様対応

〜マナー・サービス〜

「マナー」とはお客様に価値を提供する以前の最低限のルールのことです。

これができていないと、いかに魅力的な取り組みでも相手に不快感を与えてしまうだけとなってしまいます。

冒険ゲームで例えるなら、マナーを身につけていないことは相手に価値を与える以前の問題で、モンスターを倒すどころか、武器を持って戦う状態ですらないという状況なのです。

次に「サービス」とはお客様に対する奉仕的な活動のことです。

マナーは社会全体である程度共通認識が取られていますが、サービスは取り組みによって変化していきます。

この段階になると、剣を持ってモンスターと戦うことができます。しかしあくまでも戦える最低限のレベルです。目がクリクリしたかわいいモンスターは倒せても、魔法しか効かない強面のモンスターには立ち向かえないでしょう。

〜ホスピタリティ〜

魔法しか効かないモンスターに対しては個別に戦い方を変える必要があります。

それと同様に、あるお客様に対してより価値を与え満足させるには、お客様に合わせて対応を変える「ホスピタリティ」が必要になります。

「ホスピタリティ」とは顧客に命令、依頼されていなくてもその時、その場、その人だけに手厚くもてなすことです。

私たちの動画編集サービスでは、お客様とLINEの公式アカウントでやりとりをしており、完成した動画もそちらで納品していました。しかし、あるお客様の依頼では容量の大きい動画だったため、LINEの公式アカウントでは画質が荒くなってしまうという問題が発生しました。画質を落とさないで動画を届けたいと考えた私たちは、ネット上に動画を落とし、画質を落とすことなく簡単に保存できる方法を提案しました。そうした結果、お客様にとても喜んでもらい、次もまた利用したいとおっしゃっていただきました。

また、あるお客様から依頼を受けた際には素材動画は送っていただいたものの、時系列がバラバラで送られていました。そこで、素材を時系列順に直し、日付を加えて過去から現在までの思い出を振り返ることができるような動画を作成しました。また、2年記念日の動画を作成したため、動画の最後に『2 year anniversary』と入れたところ、とても喜んでいただきました。

このようにお客様にホスピタリティを行うことはサービスを行うだけよりも配慮や労力が必要で、限定的すぎる場面がゆえにマニュアルに組み込むことは難しいかもしれません。しかし、その配慮や労力に比例し、お客様に与える価値も増えていきます。ホスピタリティを習得するためにはお客様の気持ちになって何をされたら嬉しいかを考えることが重要です。

ホスピタリティが足りないと思う人へ

  1. お客様の気持ちになり、何をされたら価値を与えられるかという潜在ニーズを探りましょう。
  2. お客様に事実ベースでアンケートを取り、出てきた情報からお客様が無意識に感じているニーズを拾い上げ、取り組みに織り込みましょう。

『#2年10ヶ月記念』というタグ付けをしているユーザーの潜在ニーズを汲み取って、「3年記念日に動画を作成するのはいかがですか?」と営業をかけていたこともありました。

〜おもてなし〜

ホスピタリティを習得すれば勇者はどんなモンスターでも倒せるようになります。しかし、モンスターを倒すだけではなくて、モンスターを仲間にしてこそみんなに愛される伝説の勇者となれるのです。そのためにはより高次元で感動を与えるような対応である「おもてなし」が必要です。そしてそれが一番難しいのです。

「おもてなし」とはホスピタリティを越えた価値提供で、お客様を感動させるようなものを指します。

ここで一つ質問です。

私たちが普段感動するときというのはどのようなときだったでしょうか。

……

考えてみると、おそらく何かしらのサプライズがあったはずです。

それと同様に、お客様を感動させるにはお客様に対してのサプライズが必要です。それを生み出すためには私たちはまだ目の前にいないお客様に対してどのようにしたら感動を与えることができるか考えなければなりません。

私自身おもてなしを実践できているとは思っていません。

動画編集サービスの時は決算方法をLINEpayのみとしていたため、お客様にわざわざLINEpayを入れてもらうなんてこともしてしまいました。そのお客様は他のQR決済アプリを利用していましたが、それを想定するどころかこちらのやり方を強要してしまいました。事前にお客様のためにさまざまな決算方法を用意するべきだったと思っています。

おもてなしを行い、感動を与えることは更に労力がかかることではありますが、その分お客様がリピーターとしてまたお客様になってくれたり、クチコミで人を呼んでくれたりするかもしれません。

大変な分、お客様から感謝される度合いも大きいはずです。そのためにどうやったらお客様が感動するかを考え抜くというのはとても有意義なことだと思いませんか。

おもてなしが足りないと思う人へ

  1. たとえ短期的には大変でも長期的に見てお客様とWIn-Winな関係を目指すというスタンスを持ちましょう。
  2. 過去に自分が企業接点で感動した時を紙に書き出して、抽象化し、実践してみましょう。

私は2をやってみた結果、手間や費用がかかるのにもかかわらず企業側があえて私の得になるような提案をしてくれる時に感動すると気づきました。「ここまでしてくれるか」というお店は大体リピートしています。

まとめ

今回はお客様対応の「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」について書きました。「お客様ファースト」はよく聞く言葉ですが、同じ「お客様のことを考える」でも4つの段階があることをお伝えしました。

中でも「ホスピタリティ」→「おもてなし」のステップは周りを見てもできている人が少なく、とことんお客様のことを考えないといけないため、習得できたら武器になるでしょう。

皆さんの行っている取り組みと照らし合わせて、自分が現状どの位置にいるのか、どのようにして更なるお客様対応のステップに進めるのか、参考になれば幸いです。

これから研修を受ける方へ

研修前はいくら「顧客ファースト」や「ユーザー視点」という言葉を聞いてもあまり響かなかった自分がいました。しかし研修を受けて、お客様視点というのは段階があり、私の目の前にいないお客様を喜ばせることが重要だと痛感しました。自分の行動を見つめ直すところから始まるので、日頃対外的に活動をしている方にはぜひオススメしたい研修です。

研修で学んだこと

  • 挨拶は準備ができたという合図であり、形式にとらわれてはいけない
  • 人は6秒間で印象を決めるため、普段から身だしなみをしっかりしないといけない
  • 真実の瞬間を見出し、顧客に満足を届けよ
  • その場にいない顧客を思い浮かべ、おもてなしを提供せよ

この記事の著者/編集者

中都智仁 早稲田大学 教育学部数学科 

早稲田大学在籍。サークルとバイトだけの大学生生活を送っていたが、コロナ禍になり自分のキャリアを見つめ直し、ビジネススクールに入校。
『もっと早くからキャリアを考えればよかった』という後悔からキャリア支援団体のen-courageで早稲田生のキャリア支援をしている。1、2年生向けのイベントを企画する部署のリーダーを務めたり、メンバー採用の最終フェーズの担当者を務めたりしていた。
メンバーの成長を促進する一流のリーダーになるべく、リーダーズカレッジに参画。

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